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佐々木克『坂本龍馬と京都』につき雑感


佐々木克『坂本龍馬と京都 人をあるく』

概要

『坂本龍馬と京都』   維新研究の第一人者が熱い思いで描く龍馬伝。寺田屋・京都御所・二条城など京都の〝龍馬〟史跡巡りを豊かにするファン必携の書。
 誠実に無私の精神で説得にあたり、人と人を結びつけた〝超強力接着剤〟坂本龍馬。土佐浪士ながら「日本の洗濯」を志し、維新の夜明けを導いた。理想を追った33年の生涯を描き、龍馬ゆかりの京都の史跡に素顔を探る。
[以上、内容紹介から引用]
奇跡の人の風貌…各界要人との出会いと成長
 I 坂本龍馬の履歴書
一 脱藩(旅立ち/ペリー来航/土佐勤王党/脱藩/勝海舟に入門)
二 日本をたて直すために(「日本を洗濯」したい/また脱藩/薩摩との接近/鹿児島へ/薩長の和解を)
三 幕長戦争(長州へ/盟約成立/寺田屋の危機/新婚旅行/下関海戦/大政奉還)
四 海援隊隊長(苦境の社中/脱藩赦免/竹島開発構想/海援隊の創設/いろは丸の沈没)
五 新政府の創設をめざして(船中八策/薩土盟約/イカルス号事件/盟約の解消/土佐を救うために)
六 大政奉還(龍馬の決意/政権奉還/はやく新政府を/土佐の構想/武力を用いなくても/龍馬の方法/遭難/王政復古の政変)
コラム1 薩摩と長州の誓約
人脈図
 II 政治の都・幕末の京都
一 上洛する武家(朝幕の雪どけ/島津久光の上京/天皇が破約攘夷を発言/長州藩の尊王攘夷論)
二 政治の都へ(幕府に攘夷を督促/将軍家茂の上洛/将軍と諸侯を随えて行幸/攘夷の決行)
三 文久三年の政変(激怒する天皇/八月十八日の政変/公家と武家の国是会議/横浜鎖港/の国是)
四 禁門の変(禁裏守衛総督/池田屋事件/長州軍の上京/禁門の戦争)
五 傾いてゆく幕府と朝廷(長州征討をめぐって/国家の危機/薩長盟約/幕府と長州の戦争)
六 新国家をめざして(ええじゃないか/大政奉還/王政復古の政変/東京遷都)
コラム2 新政府綱領八義
 III 龍馬が翔けた京都をあるく
寺田屋 岩倉具視幽棲旧宅 大久保利通旧邸跡 京都御所 二本松薩摩藩邸 二条城 壬生寺と新撰組 酢屋 京都霊山護国神社
 参考文献
 略年表
[以上、目次から引用]

雑感

書感 吉川弘文館から出た新叢書で、なおかつ坂本龍馬本ということ惹かれ購入。書名だけ見ると旅や史跡のガイド本かと勘違いしそうだが、その構成は第一部(I)が坂本龍馬伝、第二部(II)が幕末維新期の京都情勢、第三部(III)が上記の京都史跡数カ所について、それぞれ龍馬との関わりをふまえながら解説をおこなうという体裁である。

 第一部の龍馬伝は佐々木克氏が旧著『坂本龍馬とその時代』で述べられたことをベースにしながらも、こちらの本にのみに見られる解釈や意見が散見され、単純に前書をページ数にあわせ簡略化したものとは言えない内容になっている。

 例えば、長州がフランス軍に台場を占領された文久三年(1863年)六月の戦について当時の史料のほとんどに長州が負けたと記される中で、龍馬だけは「日本」が負けたと書く(P24)という指摘や、慶応三年(1867年)一一月に龍馬が見廻組に斬殺された件について龍馬は寺田屋で、伏見奉行所配下の者を射殺しているからお尋ね者であったことは事実だが、見回り組の役目は捕縛だから、まず龍馬捕らえることが筋であろう(P64)とされる指摘など、気づいてしまえば一見当たりまえなのだが実際に斯く言及されることは少ない。

 そのほかに初聞の見解や新しい意見としては、龍馬と西郷隆盛が初めて面談した時期について、「船中八策」偽作説(後世の創作説)を念頭におき述べられていると思しい慶応三年六月以降における龍馬の立ち位置や役割について、「新政府綱領八義」(一般には「新政府綱領八策」と呼ばれる史料)についての解釈(同史料文末にみえる○○○自ラ盟主ト為テの意味)など、ページ数の都合で論の長短にバラツキこそ見られるものの、興味深い・面白い記述がまだ多数散見することができる。
(ちなみに私は本書を読むまで龍馬と岩倉具視が面談した場所を、いまの左京区岩倉上蔵町にある岩倉具視幽棲旧宅においてだとばかり勘違いしていた)

 総じて内容はビギナー向けに平易に且つ簡便だが、端々の文にキラリと光る指摘が多いため「違いの解る人」にも是非一読してもらいたい本である。紙数の都合でそれぞれの論や指摘が詳述とまでいかないのが惜しまれる。

吉川弘文館:二〇一三年(平成二五)十一月一日:2,000円(税抜)

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(平成ニ五年一一月二九日識)

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