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松浦玲『勝海舟』につき雑感


松浦玲『勝海舟』

概要

『勝海舟』 国家の大事に逢へばまだやるさ
徳川幕府の「幕末」と明治薩長藩閥政治の終わり「閥末」。自らの大きな役割を果たしつつ、二つの激動期を生き抜いた勝海舟。膨大な資料精査と長年の勝海舟研究の成果を基に、その全生涯を描ききった書き下ろし千八百枚、畢生の決定版評伝。[帯より引用]
 序章
 一章 剣から蘭学へ
 二章 ペリー来航で俄に遷転
 三章 長崎海軍伝習
 四章 太平洋往復
 五章 迂回から海軍へ戻る
 六章 共和横断派
 七章 閑居と再任
 八章 大政奉還から彰義隊戦争まで
 九章 静岡東京往復期
 十章 在官四年(海軍大輔就任から元老院議官辞任まで)
 十一章 金と人の動き(西南戦争前後)
 十二章 『亡父帖』を作り留魂碑を建てた日々
 十三章 還暦につづく年月
 十四章 野から朝へ
 十五章 『流芳遺墨』『追賛一話』セットと国会開設
 十六章 日清戦争に反対
 十七章 いよいよ「閥末」
 十八章 海舟死去と十九世紀の終り
 注
 あとがき
 参考文献
 系図・年表・索引

雑感

書感 勝海舟伝は数あれど、おおかたは幕末維新期までを主題とし、明治以降の生涯にもなると精々まとめや撫でる程度にあつかわれるのがむしろ大半。本書は江戸城あけわたし以後にも同等の筆をついやし、その全生涯を書ききった現今のぞめる海舟伝の最高水準と私奨します。
 あとがきによると、本書は月刊誌『Ronza』(『論座』)連載「遥かな海へ 勝海舟の生涯とその後」を一往の原型としながら、ほとんどが改訂と書き下ろしによって成りたてる作品のようで、筑摩書房サイトにいわせと書下ろし千八百枚、畢生の決定版評伝とのこと。構成は全928ページ中、目次と参考文献以下をのぞいた本文・補注が900ページ弱、そのうち江戸城あけわたしをふくむ八章までが約380ページ、これに戊辰戦終結や廃藩置県までをふくむ九章を架上すると計約450ページ、さらに明治維新を西南戦争で一区切りとみるなら十一章までたして計約520ページの配分になります。あくまでも「幕末維新期の海舟にだけ興味がある」という方はページ量を勘案し、読否の参考にでもしてください。
 ついで読みながら感興をもよおして点など色々挙げていきたいところですが、なにぶん話題が個別にはいりすぎるので省略にまかせ、全体からうけました特徴としては
 ●海舟の生涯を年次順におう編年体記述だが、話題や筆のいきおいで話しが結構前後する。
 ●海舟日記を資料として多く活用しているため、論題における海舟動勢が日単位でくわしい。
 ●海舟自筆史料の意図や特徴、その取り扱いについて説明が懇切である。
 ●先行史資料について、つど忌憚ない意見が開陳されている。
 ●時々の交際関係に詳しく、海舟との関係性から拾える情報が豊富である。
などなどです。
 副読本としては「講談社版『勝海舟全集』を是非お手元に!」と太鼓をかつぎたい気もしますが、余程のマニアか研究者でもないかぎり所詮無茶な話しなので(少なくとも私には無茶)、そのうちの一冊『勝海舟全集 別巻 来簡と資料』でもあれば本書の読みに、一層の奥行きが加えられるかと思います。なお最後三章くらいは日清戦争前後の話題が中心になるので、当時の外交情勢や戦の背景など是非つかんでおくと良いでしょう。理解の助けになるのは勿論ですが、読んでいてその方が面白いかと思います。
 評伝としての情報量はまさに圧巻。

筑摩書房:二〇一〇年二月一〇日 発行:4,900円(税抜)

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(平成二二年四月一〇日識)

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