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高村直助『小松帯刀 人物叢書』につき雑感


高村直助『小松帯刀 人物叢書』

概要

『小松帯刀 人物叢書』 坂本龍馬に「海軍総大将」と言わしめ、大政奉還から王政復古を導き出した男!
[帯から引用]
 幕末の薩摩藩家老。「国父」島津久光の絶大な信頼のもと、海軍増強など強藩づくりを推進し、中央政局においては、大政奉還から王政復古を導き出した演出者であった。維新後も外交の矢面に立ったが、その余りに早い死は歴史的評価を著しく低くした。幕末維新史を大胆に見直しながら、東奔西走し大変革を成し遂げた奮闘の生涯を描く初の本格評伝。
 目次
はじめに/第一 若き家老並(一 小松家を継ぐ/二 久光と帯刀/三 国父久光による抜擢/四 久光出府・上京の工作)/第二 京都政局への登場(一 久光の上京・出府/二 帯刀の江戸往復と久光の再上京/三 薩英戦争と八月政変)/第三 政局対処と強藩づくり(一 参予会議/二 禁門の変/三 強藩を目指して/四 征長と対幕姿勢の変化)/第四 幕府との対峙(一 割拠体制づくりと長崎/二 第二次征長と薩長盟約/三 幕長戦争とパークス来鹿/四 軍制改革と財源模索/五 新将軍と四侯会議)/第五 挙兵論と大政奉還(一 出兵準備と藩内異論/二 「威力」奉還模索と転機/三 大政奉還の三日間/四 密勅と三人の帰藩/五 鹿児島残留と王政復古)/第六 維新外交を担う(一 参与・外国事務掛拝命/二 江戸・横浜での対外折衝/三 外国官副知事/四 長崎経由で帰藩/五 三十代半ばでの終焉)/おわりに/小松家系図/略年譜/主要参考文献/口絵/挿図/挿表
[目次から章立てと小見出しのみ引用]

雑感

書感 伝記の叢書として学術的にも定評のある吉川弘文館の「人物叢書」に小松帯刀本が登場。単行本として出版されている小松帯刀伝を「幕末期薩摩藩を主題にした書籍と情報面でカブる部分も多いだろうから」と怠けて読んだことなかったのですが、今回は叢書への信頼感も手伝って、良い機会とばかりに手にとってみました。

 まず幕末維新期薩摩藩指導者の一人としてしられる小松帯刀を主題にした本書は、当然その足跡をおうことで同期の薩摩藩政史にもちかい趣きがあり、近年に出版された薩摩藩関係の本(芳即正『島津久光と明治維新』佐々木克『幕末政治と薩摩藩』などなど)にいくつか目を通していれば、理解の大変つよい一助にもなるので余力があれば一読をオススメします。帯刀本人の立ち位置も、より鮮明になることでしょう。

 小松帯刀本人の概略はものの本を開けばあらあらながら載っているので、本書を手にとろうという方は、役職経歴の詳細や彼の人柄にまつわる挿話、藩の政策・政治決断に彼がどう具体的に関わったかなど知りたいがゆえに読まれるのかと思うのですが、役職の経歴についてはいきおい政治活動と一体になっているものが多いので、さして意識せずとも話題の展開上、多くの経歴が自然把握できるようになっています。人柄については手紙引用のほか、彼の政治的役割・行動がその人格に負っている点の多きを本書は指摘し、政治的決断についても、本書の概要に海軍増強など強藩づくりを推進し、中央政局においては、大政奉還から王政復古を導き出した演出者であったとあるがごとく、一番に力のはいっている著述部分。ここに興味が惹かれたのであれば、とりあえず手にとってみても損はないかと思います。

 なお著者の高村氏が明治期の経済史を得意とすることもあって、薩摩藩における海軍の増強・強藩づくりについて、財政・財源面から目配りをされた考察・説明が載ります。ここは小松帯刀伝という範疇から少しはみ出てる気もしますが、著者の特色としてこの点はある意味本書の白眉かも知れません。小松本人・薩摩藩のいづれか一方にでも興味があれば、一読損のない本です。

吉川弘文館:二〇一二年六月二〇日:2,100円(税抜)

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(平成ニ四年八月二三日識)

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