史跡廻国記
秋田史跡記(一)
京都史跡記(三)
兵庫史跡記(一)
撮影地:秋田県秋田市土崎港中央6丁目16-30/関連リンク:土崎図書館
土崎駅西口のすぐ北方にたつ同地区市立図書館前、『種蒔く人』の顕彰碑。
『種蒔く人』は大正一〇年(1921年)二月に創刊された文学雑誌で、三号までが当地土崎にて印刷・発刊された。同年一〇月には発刊場所を東京へうつし、関東大震災のおこる大正一二年まで続刊。土崎での第一次、東京での第二次をあわせて総計二四冊。ほかに臨時増刊や小冊子も数冊をかぞえる。
制作の中心には、小牧近江・今野賢三・金子洋文・近江谷友治・畠山松治郎・安田養三ら秋田県出身者がおおく、文学史上プロレタリア文学が社会運動・政治運動とむすびつく、契機またはその思想的背景をつちかった前衛的雑誌として位置づけられ、評価されている。
辞書(『大辞泉』など)によっては、我が国プロレタリア文学の出発点にも位置づけられる文学誌なので、その意義や存在感も何となく察せられだろう。
……とは言え、プロレタリア文学に興味のうすい私には、碑前いまさら感興もよわい。「何かしら思いかえして、いづれ感ずることもあるだろう」と、とりあえず寄り道だけした。
また、ここからそう遠くない港中央地区の満船寺には金子洋文の墓があるようだ。
(平成二二年一〇月二九日識)