史跡廻国記
秋田史跡記(一)
京都史跡記(三)
兵庫史跡記(一)
撮影地:秋田市八橋本町一丁目
名前からも察せられるとおり、写真は菅原道真が祭神をつとめる菅原神社。慶安年間(1648〜1652)天王村北野(いまの潟上市天王北野あたり)から、元和元年(1615年)川尻村箱岡(いまの秋田市八橋運動公園あたり)にうつり、延享三年(1746年)天台宗寿量院建築のため、主命により現在地へ移転し、いまにいたっている。
写真の拝殿は、遷座の原因ともなった寿量院の御霊屋を明治四年(1871年)に移設し、翌々年になって再建されたもので、寿量院のおもかげをいまに伝える貴重な遺構とされている。
道真公といえば、代々管家が朝廷の紀伝道にかかわった家柄であること、本人が文人・文章生出身の右大臣であること、道真が管家の氏神として長く畏敬しまつりあげられていたこと、庶民層にも道真=天神という観念がひろまっていたことなどにより、現代でも「学問の神様」として有名だが、その縁から境内にはおおくの筆塚や学問ゆかり頌徳碑がのこる。
うちローカルレベルながら著名人物のものとしては、根岸靫負・荻津勝章・赤津盛正など、儒家・絵師・教育家といった文筆を業とする多様な人物群の筆塚ないし頌徳碑がみえており、藩政期以来つづいた知名のほどが偲ばれる。
(平成二三年六月一一日識)