史跡廻国記
京都史跡記(三)
兵庫史跡記(一)
山口史跡記(一)
撮影地:下関市彦島江の浦町3丁目1番
彦島八幡宮から南東に直線で約3kmほどの距離にある平氏の城跡推定地の一つ「根緒城」の跡。
手もとの語り本系『平家物語』(新潮集成・岩波新大系)には、彦島での防衛関する事となると平家は長門の引島に着き給ひぬ
とか、平家は長門国ひく島にぞつきにける
程度の情報しか見えないので、なに因って当所が城跡と比定されているのか、私はつまびらかにできない。
アパートや住宅地ちかくのここへたどり着くまでの案内板には、見出しとして「清盛塚」という、所在する供養碑の名がつかわれており、地元における関心は、真偽未詳の城跡情報よりむしろ、れきと存在している塚にこそ向けられているようである。
説明板によると、この塚は平知盛が持ち込んだ父清盛の遺骨を
砦と定めたこの丘陵の小高い場所に納骨し
建立された墓碑なのだそうで、ちかくには「地鎮神」と刻まれた碑がみえたりもする。
ありがちな真偽の点はともかくとしても、いまでは同地における一種のモニュメントとして、機能しているのだろう。
(平成二四年一月一一日識)