ま行
其之一
嗚呼、可惜々々
真辺栄三郎
中岡は予と同年か一つ兄か位の人にて身丈も予と同様、五尺ばかりの男なりき。予と頗る馬合いにて極めて親密にしたり。剣は予と同じく武市[半平太]先生に学びたるも、余り熱心にてもなく、どちらかといえば文学の人なりしが、それかといいて学問も深邃なりしとはいい難し。平生、大の議論好きなり。その風貌、写真の伝うのごとし。似たりとは愚か全くその儘なり。ただし眼光炯々として蒼鷹の羽ばたかんとするがごとき感なるも、実際の人となりは温和にして色白く、声音も尋常なりき
三宅謙四郎
(平成某年某月某日識)