所有艦船

　幕末の動乱はペリー提督がひきいるアメリカ合衆国東インド艦隊によってその端がひらかれた。産業革命の恩恵によってもたらされた西洋列強の強大な軍事力は、日本のおおくの識者たちに衝撃をあたえ、幕府・雄藩は軍事力の増強・商用など様々の目的のため、おのおのが船舶の充実に力を入れる。
　海南の雄藩としてしられる土佐藩もその例にもれず、山内容堂・吉田東洋・後藤象二郎らが主導のもと、海軍力の強化がはかられた。幕末期におけるその船舶の購入数は薩摩藩についで多い。
　船名にはアメリカ人宣教師フルベッキの「国々で独自の名をつけるのがよい」という進言をいれ、容堂自ら『源氏物語』の各帳名を用いることが多い。