海援隊（社中）

凡嘗テ本藩ヲ脱スル者及佗藩ヲ駄脱スル者、海外ニ志アル者此隊ニ入ル運輸、射利、開柘、投機、本藩の応援ヲ為スヲ以テ主トナス、今後自他ニ論ナク其志ニ従テ撰テ之入。
凡隊中ノ事、一切隊長ノ処分ニ任ス、敢テ或ハ偉背スル勿レ、若暴乱事ヲ破リ、妄謬害ヲ引ニ至テハ、隊長其死活ヲ制スルモ亦許ス凡隊中患難相救、困厄相護リ、義気相責、条理相糺、若クハ独断果激、儕輩ノ妨ヲ成シ、若クハ儕輩相推シ、乗、勢テ他人ノ妨ヲ為ス、是尤慎ム、可キ所、敢テ、或犯ス勿レ。
凡隊中修行分課政法、火技、航海、汽機語学等ノ如キ其志ニ随テ之ヲ執、互ニ相勉励、敢テ或ハ懈ルコト勿レ。
凡隊中所費ノ銭糧、其自営ノ功ニ取ル亦互ニ相分配シ、私スル所アル勿レ、若挙事用度足不、或ハ学料、欠乏ヲ致ストキハ隊長建義シ、出碕官ノ給弁ヲ竢ツ。

社中：慶応元年閏五月〜慶応三年四月（海援隊へ改編）
海援隊：慶応三年四月〜慶応四年閏四月二七日

坂本龍馬（期間：慶応元年四月〜慶応三年一一月一五日）
長岡謙吉（期間：慶応四年四月一一日〜慶応四年閏四月二七日）

長崎伊良林郷字亀山
長崎小曽根家別邸

黒無地の羽織
縞入りの白袴
乃至下駄もしくは短靴

　神戸海軍操練所閉鎖後、龍馬たちが薩摩藩の援助をえて結成した日本史上初の貿易総合商社（株式会社と称されることもあるが誤り）。
　慶応元年、龍馬指揮のもと薩長盟約締結の斡旋をおこない、翌年にはユニオン号をかって四境戦争に参加、小倉口への砲撃をになった。慶応三年、土佐藩のもと海援隊に再編成され、陸援隊とともに藩の独立部隊として活躍。同年におきた日本初の蒸気船事故では紀伊藩を相手に賠償金獲得に成功している。
　龍馬の死後、長崎の海援隊は佐々木三四郎指揮のもと長崎奉行所を占拠し、同地平定に尽力した。また京都方面の海援隊は長岡謙吉らに統括され、塩飽諸島・小豆島の平定や治安維持に功を成した。以後、隊士たちはそれぞれの道へとすすみ、慶応四年閏四月二七日、藩命にて解散する。