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史料説明な・は行〜ただし簡易に〜


 「考龍馬伝」にみえる史料名のうち、同時代史料ないし古典ともいうべき資料について、ここで簡単な説明をおこなう。『日本書紀』など非同時代史料・古典は、そちらまで説明してると際限がなくなるので対象の外。項目は予告・後告なく追加していく。本稿はナ行・ハ行。

●『那須信吾書簡』(なすしんごしょかん)
横田達雄氏編、青山文庫後援会刊行の史料集、全三巻。その名のとおり那須信吾の書簡を中心に収録する。
●『反魂香』(はんごんこう)
海援隊士安岡金馬の倅 安岡秀峰の取材による楢崎龍からの聞き書き。横須賀に住んでいたお龍をたずね取材したもので、文学雑誌『文庫』に明治三二年(1899年)二月一一日発行号から六回にわたり掲載された。
●『卑家月書 内之部第一』(ひかげつしょ うちのぶだいいち)
龍馬の先祖坂本直益による日記。才谷屋や父の正禎、直益本人に関する記録がおさめられる。高知県立図書館蔵。書名はなんと訓読すべきか当方未詳なので、うえは便宜上の漢音読とした。
●『氷川清話』(ひかわせいわ)
吉本㐮による勝海舟からの聞き書き(正確には明治二十年代から三十一年までに発表された海舟の談話を寄せ集め再編したのが大部分)。巷間に流布したもの(現在は『氷川清話 角川文庫ソフィア』他がそれに当たる)は吉本㐮による改変が著しく、現在もとの談話に近いものは講談社版(『氷川清話 講談社学術文庫』や同社版『勝海舟全集』など)で読むことができる。
●『福岡家御用日記』(ふくおかけごようにっき)
土佐藩家老福岡家に提出された御預かり諸家の報告類と推察される史料集。原本は東京大空襲によって失われており、平尾道雄氏の”写し”によって現在にもその一部が伝わっている。坂本(龍馬)家に関する抄録と岩崎(弥太郎)家に関する抄録とが一部翻刻。
●『防長回天史』(ぼうちょうかいてんし)
天保期から廃藩置県までを叙述した長州藩の正史ともいうべき史書。編纂および執筆は子爵末松謙澄が担当し、はじめ明治四四年(1911年)に刊行されたが、大正一〇年(1921年)に若干の修正が施され再刊。
●『北辰一刀流剣術全書』(ほくしんいっとうけんじゅつぜんしょ)
千葉周作門下の塚田五右衛門が、同流で行われている全ての型を書きとめたという剣術書。兄弟子にあたる山田官司の校訂をうけ嘉永六年(1853年)春完成。
●「北辰一刀流長刀兵法目録」(ほくしんいっとうりゅうなぎなたへいほうもくろく)
安政五年(1858年)一月吉祥日、剣師千葉定吉から弟子の龍馬にあたえられた北辰一刀流の薙刀伝書。家流始之書と記されることから初伝にあたるものと思われる。
●『保古飛呂比』(ほごひろい)
丸橋金次郎が佐々木三四郎の日記を骨格として、その公私史料を編集した日次体裁の伝記史料集。その範囲は天保元年(1830年)から明治一六年(1883年)におよぶが、原本は以降の日記とともに戦災のため焼失したと伝わっている。別名『佐々木高行日記』。

(平成某年某月某日識/平成二八年一一月二七日訂)

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