space_space.gif
 龍馬堂>>龍馬詩評>>短歌篇 総覧>>短歌篇 こころから〜 
space_space.gif
坂本龍馬の目録

短歌篇(坂本龍馬)

LinkMark嵐山〜

LinkMarkうき事を〜

LinkMarkゑにしらが〜

LinkMark面影の〜

LinkMarkかくすれば〜

LinkMarkかぞいろの〜

LinkMarkきゑやらぬ〜

LinkMark君が為〜

LinkMarkくれ竹の〜

LinkMarkこころから〜

LinkMarkさてもよに〜

LinkMarkさよふけて〜

LinkMark月と日の〜

LinkMark常盤山〜

LinkMark春くれて〜

LinkMark挽臼の〜

LinkMark人心〜

LinkMark藤の花〜

LinkMark文開く〜

LinkMark又あふと〜

LinkMark丸くとも〜

LinkMarkみじか夜を〜

LinkMark道おもふ〜

LinkMarkもみぢ葉も〜

LinkMark山里の〜

LinkMarkゆく春も〜

LinkMark世と共に〜

LinkMark世の人は〜

龍馬詩評

龍馬詩歌

LinkMark短歌篇

LinkMark雑歌篇

LinkMark贈歌篇

龍馬評

LinkMark人傑篇

LinkMark英傑篇

坂本龍馬

LinkMark龍馬概略

LinkMark龍馬日譜

LinkMark龍馬詩評

LinkMark考龍馬伝

LinkMarkえにし

LinkMark関連本など New

space_space.gif

短歌篇 こころから〜


和歌を単線上に現代語訳するのは事実上不可能なので「大意」は半ば逐語訳です。
歌の風韻や詩情は原文から各々で構築しなおすことをオススメします。というか、してください。

こころから のどけくもあるか 野辺ハ猶 雪げながらの 春風ぞ吹
●大意:情緒を解する心によって、こうも穏やかに感じられるのか。野原あたりはまだ雪模様のままなのに、ただ春風が吹いている。
●こころ……物のあわれをしる心、風流心、情動。
 例歌:『後拾遺集』能因心あらむ人に見せばや津の国の難波わたりの春のけしきを(情緒を解するであろう人に見せたいものだ、津国の難波あたりの春の風景を)
●から……原因となる理由をしめす格助詞の「から」。
●のどけく……形容詞「のどけし」の連用形。長閑な、穏やかな。
●あるか……形容詞・形容動詞の連用形(またはさらに助詞の添加された形)に付き、性質や状態を特定する補助動詞「あり」連体形に、詠嘆の終助詞「か」がついたもの。
●雪げ……雪のふりそうな気配。雪模様。
●春風……春の日にふく穏やかな風。
●ぞ……上接する語句に注意を喚起し強調する係助詞。
●原書:「伊藤家文書」/底本:宮地佐一郎編『坂本龍馬全集』
●詠作時期:慶応三年(1867年)春
●詠作場所:長門国 下関
●解説
 『坂本龍馬関係文書(一)』には将軍大政返上のことありける時と詞書される歌。しかし正しくは慶応三年三月六日付印藤聿宛龍馬書簡によって、下関は伊藤九三邸における歌会での作とわかる。書簡によると、このおりの歌は一巻にまとめられ、ある翁に判じられたところ、龍馬詠は席上第二の評価をうけたそうである。龍馬ご自慢の佳作なのだろう。
●鑑賞
 実景の雪模様にたいして風により喚起された心的春をよむ歌。『詞花集』大江匡房氷ゐし志賀のからさき打とけてさざ浪よする春風ぞ吹は、余寒と風に春のおとずれをよむ(春立つ心をよめる)歌、『新古今集』源通光みしま江や霜もまたひぬあしのはにつのくむほとの春風そ吹は春寒と風に春のおとずれをよむ歌で、余寒・春寒に春風をはいす例は先行歌もおおい。龍馬詠のおもむきは、寒景と春風の景物的な対比を一歩すすめ、心象まで踏みこみ詠みいれた点が珍しく、春風歌としてはそこに新鮮さを認めたい。

mark_utarntop.png PageTop 


(平成二一年二月二一日識/平成二四年二月二日訂)

mark_utarntop.png PageTop 

space_space.gif
space_space.gif
 龍馬堂>>龍馬詩評>>短歌篇 総覧>>短歌篇 こころから〜 
space_space.gif