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坂本龍馬の目録

安政五年〜文久二年

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学問の勧め?〜自己流の学問〜


 土佐に帰郷して以来、龍馬は自分なりに学問を心掛けるようになったらしい。よく龍馬に対する評として「学問がない」とか「文字がない」などという言を聞く。確かに子供時代の龍馬が「ぼんやり」などと評されていることを考えても「秀才」的なイメージは、まず持たないだろう。

 このことについて名著『坂本龍馬関係文書』をまとめた歴史家 岩崎鏡川は以下のように語っている。

●『坂本龍馬関係文書』巻頭

よく坂本先生のことを無学であるとか無筆であるとか申します。成程、先生は決して帳坦訓詁の学者ではなかったが、書を読まなかったかと申しまするに、中々左様でなかった様であります。濫読こそしないが、会心の書はよく読で居られます。其眼光は紙背に徹して、其要領を掴む上に、分寸の隙間もなかった。先生は平生『老子』を耽読したとのことでありますが、其飄逸虚無の趣はこれによりて得たものと思はれます。(先生の自然堂の号はここに胚胎すると聞いて居る)先生の書簡中には意外にも時々経典の成句に接することがあります。先生の手抄中には『韓非子』を引用したり、また英語を学習したりしたものがあります。況んや立憲政体の創設の如きは、当時の多くの識者が猶克机上の珍什視する際に於て、先生は直ちに実地にこれを運行せんとして居られます。先生の如きは洵に学ばざるの学者といはなければなりませぬ

 もっとも平尾道雄氏によれば「はたして『老子』を愛読したかどうかは保証の限りではない」そうだが、岩崎鏡川が語った話として重みがあろう。

 また龍馬の学問について甥の高松太郎はいっている。

●高松太郎が観た龍馬

資性豪宕、不羈小節に拘せず。嘗て読書を好み、和漢の史子を渉猟す
直柔、容貌温厚、言語低静にして志気卓犖英気なり、武技を喜くし、好んで史書を読む

 高松から観た龍馬は読書を好み、和漢の史子を渉猟好んで史書を読んでいたわけだ。さらに以下ような目撃談もある。

●池元徳次が観た龍馬

龍馬さんはその時分、五台山におったことがるのう。あしはそのころ山仕事もしよったきに五台山へよう出かけたが、山の中の一軒の家で龍馬さんは一人で、よう読書をしよったのう。あしは行きし戻りしによう見たもんじゃった

 とりあえず、子供の頃はどうか知らないが、青年期以降の龍馬は自分なりに学問を精励していたとみて差し支えないだろう。

 では最後に、学問に関係した龍馬の有名な逸話を二つほど紹介しておく。

●漢学

家に帰りてより龍馬は専ら読書に努め、暇あれば同志門田為之助・大石弥太郎等を訪いて国事を談ず。一日、門田・大石に語りて曰く「近頃、痣は読書を始めたり」と。痣は龍馬の異名なり。大石怪しみて直ちに龍馬会い、其の実否を質すや、龍馬曰く「時勢は僕に読書の必要を感ぜしめたり。故に之を読む」と。示すを見れば『資治通鑑』の白文なり。大石故に龍馬の学力を試みんとして曰く「音読せよ、然らば僕之を聞かん」と。龍馬、大声を発して朗読するに字々音を誤り毫も訓点を顧みず。大石驚いて「君はそれで意味が分るにや」と問う。答へて曰く「唯其の綱領に通ずるのみ。敢て枝葉を問わざるなり」と。龍馬が事を為す、概ね此の類なり。

●蘭学

或る時、龍馬、蘭学者某に就きて和蘭政体論の講を聴く。講半ばにして龍馬、某に問う。曰く「生思ふに先生の原義を誤り伝うるが如し。更に一閲を請う」と。某曰く「余は子に師たり。何ぞ誤りを伝えんや」と。龍馬曰く「然らば原義亦条理を失う」と。師翻って原書を精読し、謝して曰く「余過てり、子の不審道理至極」と。自ら読まざるに眼光透徹す。師と雖も顔色なきなり。

(平成某年某月某日識)

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